第二弾(2):『百万人のサタニズム』(続)

★ 今日も邪悪の雨がふる

 ほんとうなら、これまで何万人と生まれたはずの受講生全員の追跡調査が欲しいところだ。おそらく、新宗教の犠牲者に酷似した結果が得られるのではないか。セミナーは無自覚状態で人を洗脳する。前述したように、受講生のほとんどが洗脳の自覚の無いまま、おかしくなり他人に迷惑をかける言動をとるようになる。

 著者自身の体験をいえば、やはりセミナーの受講直後から、一時期、非常に異 様なふんいきだったと知人に指摘されたことがある。たしかに、自分でも不思講 なくらい、常軌を逸した言動をとり、周囲に有形無形の不愉快な迷惑をかけた記 憶がある。相当アブナイ状態が、後遺症もふくめると一年余も続いたのだ。

 受講した知り合いの中にも、精神分裂病に至り、自制心が破壊された人間がい る。御多分にもれず、普通の人間なら「おかしいぞ」と感じる感性を麻痺させら れてしまったのだ。

 彼は、著者よりもひどい愚行に気づかないばかりか、始末におえない経路をた どった。つまり、受講後に前号でも指摘した「普通の顔をした邪悪=魔人」と化 し、まるで放射性物質のように危険な人間に変貌を遂げたのである。

 私の友人でもあったその男は、セミナーで洗脳されて盲信状態におちいり、筆 者や別の知人たちをも巻きこんで、新しいセミナーをつくろうとさえしたのだ。 幸いなことに、その企ては初期段階で挫折した。だが、彼と同様、セミナーには まり、自分も新手のセミナ−を起こす人間がたくさんいることも事実なのであ る。

 それは新宗教を狂信した者が、自分も新しい教祖となって教団をつくってしま うケースと酷似している。

 ライフ・ダイナミックスを受講したのち、新しい中小のセミナー企業を起こし たものが何百といる。それらはまたたくまに「セミナー市場」ともいうべき一大 業界を形成し、今日にいたっている。

 むろんのこと、各種のマルチ商法やニューエイジと結びつき、かなりの部分で 重なりあっていることは言うまでもない。

 洗脳思想研究家の清里涼平氏によれば、それらの無数のセミナー企業・洗脳マ ルチ業界は、すべて「アーク・インターナショナルが統括している」という。つ まり、一見ばらばらに独立してみえるセミナー企業の群れは、実はユダヤ企業た るアーク・インターナショナルを総本部とする一大洗脳コングロマリットの下部 組織群なのだ。

 思い当たる節がある。十年ほど前、元祖「ライフ・ダイナミックス」(以下ラ イフとする)を受講した直後、そこから派生したさらにディープな「ホープアカ デミー」(現在は「清らか塾」ともいう)というセミナーを受講したときのこと だ。そのセミナーも「ライフ」を母体として乱立した小セミナーのひとつだっ た。

 どのくらい小規棋かというと、「ライフ」の四〜五分の一程度。「ライフ」な ら、一回の受講者が百二十人前後、日帰り四日間の日程で、会場は東方会舘など の大型結婚式場のワンフロアを借り切る。

 「ホープ」の場合は、受講者はせいぜい二十〜三十人、会場は会社の事務所とい っしょのマンションのテナントの一室、受講日程もシティホテルにとまりこみで 三日だった。受講料だけは、最低十万〜三十万円と高額で、「ライフ」も「ホー プ」も同じなのが、あざとい真意をのぞかせる。

 そこで、卒業(グラジュエーションという)のとき、社長の男が、「もし、み なさんの中で、本気で自分の夢を、このセミナーと違撃する形で実現したい人が いるなら、資金を提供する。人数は二人〜三人で、ひとり頭、五百万までなら出 せる」といったのだ。

 そのときは、洗脳されていたので「太っ腹やな−」と思った記憶があるが、 今、考えると非常にうろんな話だ。

 「ホープ」は、従業員(つまりセミナーの講師に当たるトレーナー、事務員、営 業マン)をぶくめて、五人程度の小企業。しかも、会社を起こしてから、まだ半 年しかたっていない頃だ。バブル沸騰前で、すぐに三人に五百万ずつ融通できる というのは、いくら十年前でも変な話である。

 それから一、二年のうちに、「ホープは業務拡大しました」というパンフが、 何度か郵送されてきた。内容は「だからいっしょに商売しませんか。投資しませ んか」と、過去の受講者たちへの勧誘だった。拡大した業務とは、羽毛ふとん、 化粧品、健康食晶、宝飾だののマルチ商売で、「なんでセミナー企業が、こんな ことまでするんだ?」と首をかしげた記憶がある。

 その後、バブルの隆盛とともに、セミナーが洗脳企業としてクローズアップさ れ、マルチ商法とむすびつき、たくさんの人をだまくらかして問題となったの は、みなさんが御存知の通り。「ホープ」もそれらの一角だったわけである。

 それにしても、「ホープ」程度の小セミナーが、それだけの資本を、いったい どうやって用立てることができたのか。「ホープ」だけではない。無数の乱立し たセミナー企業も、、同様の活勤をおこなっていることから、莫大な資本が、ど こかから小分けに作戦資金として与えられた事が想像できる。

 私には、答えは、ひとつしか考えられない。彼らの指揮本部アーク・インター ナショナルが、洗脳企業による日本破壊の工作資金として、潤沢な資金を提供し ていると言うことだ。

 何百というセミナー企業の設立、運営、業務拡大の資金を、一挙にばらまける 存在といったら、それしかないだろう。その金も、大本の国際ユダヤ資本が、株 操作、ダイヤ、金、レアメタルの相場利益、果ては麻薬や人身売買などの犯罪で 得たブラック・マネーを、ロンダリングした上で、アーク・インターナショナル に回していたと思われるが……。

 莫大な黒い金を、さらに邪悪な目的のために、どんどんと注ぎこむ。邪悪が現 世にカを持つというのは、こういうことである。このように、敵は恐るべき周到 さで、この日本の古き良き民族の精神を破壊し続けてきた。

 また今、この瞬間にも、次の世代を徹底的に無知愚鈍な存在におとしめ、奴隷 と犯罪者の群れにすべく、さまざまな作戦を実行し続けている。戦慄すべき魔手 である。

 これはフィクションではない。眼前にある現実なのだ。

 (※八神注・現在のセミナー企業・関連企業リストについては、

      「自己啓発セミナーの情報源」
       http://nagoya.cool.ne.jp/tyotyo/

 を参照されたい。(株)ホープアカデミーのこともくわしく載っている)

★ マルチ商法とマスコミの邪悪な絆

 もうひとつ、実際に自己啓発セミナーを受講した者だけが知る情報と、それに まつわる恐るべき現実を伝えよう。

 「ホープ」を受講した際、さらに上級のセミナーを卒業すると、複数のセミナー 企業が合同でおこなう「同窓会」のようなイベントに参加できると聞かされた。 そのパンフももらった。

 その「同窓会イベント」には、同じ上級セミナーを卒業した各界の有名人を招 き、トークショーやパーティー、ディナーショーなどを催す旨がかかれてあっ た。すでにその時点で何回か、「同窓会イベント」が実施されていたらしく、筆 者がもらったパンフにも、三〜四回目と書いてあったと記憶している。

 事実だから実名を挙げるが、そこには、あの有名なシンガーソングライター 「さだまさし」の名があった。先輩卒業生の代表のひとりとしてイベントに参加 し、歌を披露すると、写真入りで印刷してあった。

 今も彼が、セミナー業界とつながりを持っているとは思えない。だが、一九八 六年夏の時点では、セミナーの上級段階の卒業生として、セミナー企業群のイベ ントに招かれる仕事をしていたことは確かなのだ。

 この事実をよく考えてみよう。洗脳による人工狂人を生み出す性格改造セミナ ーの卒業生が、各界に浸透しているという証拠がそこにある。現に某大手テレビ 局では、プロデューサーやディレクタークラスの人間が、セミナーにはまり、下 のプロダクションや関係者一同に、のきなみ受講させたという話がある。

 また、ミュージシャンやイラストレーター、映像関係者など、クリエイティブ な仕事をしている人間たちにも、性格改造セミナーの受講者が大量にいるという のだ。

 (八神注:ご存知の通り、X−JAPANのメンバーに受講生がいるととりざたされた)

 当然のごとく、アニメ業界にもたくさんいるはずである。つまり、マスコミ関 係や視覚・聴覚の影響力を持つ業界に、セミナーの受講者がたくさんいるという 事実。これはとほうもないことが、この日本に起きている証左でもある。

 文字であれ、音楽であれ、映像であれ、人に影響を与えるものの心を狂わせれ ば、国民全体を狂わすことが可能になるのだ。そう考えると、八十年代後半から 堕落腐敗の一途をたどる民放テレビ番組の劣化悪化の病原が見えてくる。ふしだ らな芸能人がもてはやされ、本物の芸を持つプロがテレビに登場しづらくなった 原因が、性格改造セミナー受講の結果だとは……。そう思いたくはないが、事実 という裏をとっていくと、そう断ぜざるをえないものがある。

 正邪の感覚を麻痺させるセミナーを受けた人間たちが、徳性を忘失した番組を つくり、ミソもクソもごっちやにした音楽や映画やアニメを視聴者に与える。正 邪の感覚がないということは、精神が免疫不全をおこしているということだ。こ れが意味するのは、何の抵抗もできず、精神的エイズやペストというべきサタニ ズムに支配され、食い物にされてしまう驚愕の未来だ。知らない間に、人々がサ タニスト的な影響を受け、タブーの感覚が失われてゆくのである。

 ここで著者は、読者にひとつの恐ろしい疑間をぶつけたい。セミナーというサ タニズムに汚染された者たちが番組をつくる。それを受け入れ、当たり前のこと として見て育った、この日本の子供たちが、まともな大人になるだろうか?

 セミナーを受講すると、一時的に被暗示性が極端に高くなる。あっというまに 狂信盲信に走り、あっさりとマルチ商法にだまされ、邪悪な企てにまきこまれて しまう。被害に気づいたときには、手おくれで、悔やんでも悔やみきれないこと になる。

 たしかにセミナーの邪悪な効果は、個々の受講者にとっては、一時的なもの だ。いわば、「点」の邪悪といえよう。しかし、その邪悪の「点」を、連続して 間断なく、次々と入れ換わりたちかわり生み出し続けてゆけば、それは「線」と なり、悪影響を受けた人々が広がれば「面」となる。やがては、「国民」「民 族」といった「立体」にまで、被害が及んでゆく。

 事態はすでに邪悪の「立体」を形成し、なお増殖し統けている。その証拠に、 最近はやりの「ポジティブ」「肯定的・積極的」「コミット(能動的にかかわっ てゆく)」という、一群の言葉がある。

 これらの言葉を流布し、最初に使ったそもそもの源は、ほかでもない、このセ ミナーのセッションの場なのである。

 ほかにも「ビジョン」「チャネリング」「シェアリング(わかちあい)」「エ ンロール(巻きこみ=勧誘のこと)」などの言葉は、性格改造セミナーのセッシ ョンで使われた用語が、流出していったものだ。類語として「ウェルネス」など も、これらセミナー用語の匂いを濃厚にただよわせている。

 これらの夕−ム(用語)は、『バシャール』『エクトン』『ジャゼワ』『セ ス』などに代表される、西洋イタコのチャネラーたちも好んで使う。すなわち、 ニューエイジを信奉する人々の間でも共通言語として用いられている。

 これらが、現代日本で当たり前のように使われるようになっている事実は、破 壊工作の浸透の深さを物梧る。セミナー受講者の数が、驚くべき多数に達し、さ まざまな業界を侵蝕している証拠でもある。

 ちなみに、これらのセミナー=ニューエイジ系列の人間のほとんどが、『アガ スティアの葉』(青山圭秀著)という本で紹介されて有名になったインドの「サ イババ」に傾倒している。この事実から、読者は「サイババ」がいかなる存在 か、類推することができよう。

 ローマ法王やダライ=ラマでさえ、こんにち限りなく黒に近い灰色の存在なの である。ましてや新参のサイババなど、最初から真黒なのは目に見えている。サ イババは色々な奇跡を起こすというが、日本のミスター・マリックにも、同じこ とが(奇跡に見せかけた奇術が)できるはずだと、筆者は確信している。

 おまけに、どんなプロ霊能者もやることだが、宣伝マンをかねたサクラたちを 使い、まことしやかにニセ奇跡としか思えない体験談を、オカルト雑誌に堂々と 載せたりするので始末におえない。何も知らない少年少女が見たら、本気にして インドに行ってしまうではないか。

 ともあれ、アニメ『エヴァンゲリオン』の主要な制作スタッフにも受講者がい ることはまちがいない。それらは氷山の一画であって、人工精神異常によって生 み出されたものが、各界を汚染して流布しているということなのだ。

 ついでにいえば、アーク・インターナショナルの「アーク」とは、「レイダー ス/失われたアーク』のアークのことだ。正しくは「契約の箱」という。旧約聖 書の「出エジプト記」に描かれたモーゼの十戒の石板が、おさめられているとい う。ユダヤ民族の至宝にして、ここ二千五百年以上も所在不明な(四国の剣山に あるとか、エチオピアにあるとか、諸説ふんぷんたる)謎の櫃である。

 またマルチ商法といえば「アムウェイ」を想起せずにはいられないが、これも IamWay(われは道なり、法則なり)というサタンの意志を代弁する言葉 の略ではないかと、疑っているところだ。主語の"I"が隠されている点が、非常 に陰謀くさい。

 マルチ商売は、だまされれば大損だし、儲かったら儲かったで、まともな金銭 感覚がこわされてしまう。どちらに転んでも、人間をダメにするようにできてい る。それでも、損をする方が、まだ人格的に致命傷を受けないですむかもしれな い。

 マルチで大金を得たものは、株やバクチで儲けて味をしめるのと、全く同一の 軌跡をたどる。人生の基本というべき、かたぎの生活が送れなくなるのだ。一 度、ぜいたくの味を覚えると、再び乏しい生活にもどるのが、どんなに辛いこと か。ある程度の人生経験をつんだ人なら、金銭感覚の麻痺というのが、どんなに 恐ろしいことか、よく御理解いただけよう。(アムウェイの間題については、 「誰も書かなかったアムウェイ』山岡俊介・著/あっぷる出版社にくわしい。こ の本については、アムウェイが訴えて裁判になったが、出版社側が勝っている)

 大半のセミナー企業が、右へならえで、ある時期を境に、どっとマルチ商売に 業務拡大していった。自然な成り行きと考えるのは、あまりにも不自然だ。《セ ミナーによる人心の破壊》=《マルチによる金銭感覚の破壊》=《マスコミによ る艮族性の破壊》=《アーク・インターナショナルの指揮》という図式を、ここ でよく覚えていただきたいと思う。

 現在は、まだ調査が不十分なので、断言できないが、日本のセミナー業界とニ ューエイジ、また新宗教界との結びつきについても、おそらく大変なレベルで癒 着、もしくは同じ穴のムジナ状態になっていることが推測できる。さて、自己啓 発セミナーについては、この辺で、おもしろいエピソードを伝えて、しめくくる ことにしたい。

 「ライフ」でも「ホープ」でも同じだったのだが、毎日のセッションの開始前、 休憩時間を終えてセッションを再開するたびに、受講生全員がそろった時点で、 ある音楽が流される。SF映画『二○○一年宇宙の旅』のオープニングにも使わ れた壮大な曲の一節だ。

 それは、リヒャルト・シュトラウス作曲『ツァラトゥストラはかく語りき』。 いうまでもなく、ニヒリズムの哲学者二−チェが、「神は死んだ」と初めて記し た著作に題材を得た曲である。

 ちなみに、ツァラトゥストラとは、拝火教の開祖ゾロアスターのドイツ語読 み。ただし、実際の拝火教は、無神論やニヒリズムに汚染されているわけではな いので、誤解なきよう。

 おそらく、ほとんどのセミナー企業が、同じ曲を同じ場面で使っているにちが いない。こうして、邪悪な連中は、サタニスト礼讃音楽を、うぶで無知な日本の 受講者たちに、今日もまた高らかに歌って聞かせているのである。

第三弾(1):『戦慄のソドム化世界』